「マニュアルを作らなければいけないのは分かっているけれど、時間が取れない」「ベテランの頭の中にしかない手順を、どう文書にすればいいか分からない」。業務マニュアルは、どの会社でも後回しにされがちな仕事です。
ChatGPTは、この仕事と相性の良い道具です。バラバラのメモや口頭の説明を、順序立った手順書に整えることが得意だからです。ただし、材料を渡さずに「〇〇のマニュアルを作って」と頼むと、どの会社にも当てはまる一般論が返ってきて、現場では使えません。コツは、現場の材料を渡し、読む人と形式を指定することです。
この記事では、ChatGPTコンサル編集部が、マニュアル作りでChatGPTが得意なことと苦手なこと、作る前に用意する材料、基本のプロンプト、目的別のプロンプト、仕上げの確認のプロンプト、完成形に仕上げるツールの使い分けまでを、そのまま使える例文つきで解説します。
⚠️ 機能や対象プランは更新されることがあります。本記事は2026年9月21日時点の情報です。文書の作成機能の最新の内容はChatGPT Workでの文書作成についての公式ヘルプでご確認ください。
ChatGPTが得意なこと、苦手なこと
最初に、ChatGPTに任せる部分と、人が担う部分を分けておきます。
| ChatGPTが得意なこと | 人が担うべきこと |
|---|---|
| 箇条書きのメモを、順序立った手順に整える | 実際の手順が正しいかを確かめる |
| 口頭の説明の文字起こしから、要点を抜き出す | 社内独自のルールや例外を伝える |
| 同じ内容を、新人向けと経験者向けに書き分ける | 画面の画像やシステムの操作を確かめる |
| 手順書から、FAQやチェックリストを作る | 機密情報を渡してよいかを判断する |
| 抜けている手順や、曖昧な表現を指摘する | 最終的な内容に責任を持つ |
要するに、ChatGPTは「整える」「書き分ける」「抜けを探す」が得意で、「正しい手順を知っている」わけではありません。手順の中身は、必ず現場から渡す必要があります。
💬 さとしさん(編集長)
ChatGPTは手順を知っているわけではありません。現場のメモを渡して、整えてもらう道具だと考えてください!
作る前に用意する3つの材料
プロンプトを書く前に、次の3つを用意します。どれも完璧である必要はありません。
1. 作業の手順のメモ
箇条書きの走り書きで構いません。「受注メールが来たら、基幹システムに入力、在庫を確認、なければ仕入先に連絡」のように、実際にやっていることを順に書き出します。ベテランに話してもらい、その文字起こしを材料にする方法もあります。
2. 読む人の情報
誰が読むマニュアルかを決めます。入社1週目の新人か、別部署から異動してきた経験者か、外部の委託先かで、書くべき粒度がまったく変わります。
3. 既存の書式
社内に決まったマニュアルの書式があれば、それを用意します。見出しの付け方、注意書きの書き方などを合わせることで、既存のマニュアルと並べても違和感のないものになります。
基本のプロンプト|手順書を作る
最もよく使うのが、メモから手順書を作るプロンプトです。役割、読む人、材料、出力の形式、守ってほしいことの5つを入れます。
あなたは業務マニュアルの編集者です。
次のメモをもとに、業務の手順書を作ってください。
【読む人】
入社1か月以内の新人。社内のシステムは一通り触ったことがある。
【出力の形式】
・冒頭に「この作業の目的」と「所要時間の目安」を書く
・手順は番号付きで、1つの手順に1つの操作だけを書く
・判断が必要な手順には「こういう場合は〇〇」と分岐を書く
・間違えやすい手順には「注意」として理由を添える
・最後に「困ったときの連絡先」の欄を空欄で用意する
【守ってほしいこと】
・メモにない手順を推測で付け足さない
・メモで曖昧な部分は、手順書に入れずに最後に「確認が必要な点」として一覧にする
【メモ】
(ここにメモを貼り付け)
特に大事なのは「メモにない手順を推測で付け足さない」と「曖昧な部分は確認が必要な点として一覧にする」の2行です。この2行がないと、ChatGPTはもっともらしい手順を補ってしまい、現場の実態と違うマニュアルができてしまいます。
💬 あやさん(副編集長)
「推測で付け足さない」の一行は必ず入れてね。これがないと、現場にない手順が混ざってしまうよ!
目的別のプロンプト
基本の手順書ができたら、同じ材料から別の形の資料も作れます。
口頭の説明から手順書にする
ベテランに作業を説明してもらい、その文字起こしを渡す方法です。話し言葉の中に埋もれている手順とコツを、分けて抜き出させます。
次は、ベテラン社員が作業を説明したときの文字起こしです。
この中から、作業の手順と、手順ではない「コツ」や「経験則」を分けて抜き出してください。
手順は番号付きで、コツは「なぜそうするのか」の理由とあわせて書いてください。
雑談や言い直しは省いてください。
【文字起こし】
(ここに貼り付け)
手順書からFAQを作る
手順書をもとに、新人がつまずきそうな点をFAQにします。問い合わせ対応の手間を減らせます。
次の手順書を読んだ新人が、つまずいたり質問したりしそうな点を予想し、FAQを10問作ってください。
答えは手順書に書かれている内容だけで作り、手順書から答えられない質問は「確認が必要」と書いてください。
【手順書】
(ここに貼り付け)
研修資料の構成にする
手順書を、研修で使うスライドの構成に組み替えます。
次の手順書をもとに、30分の新人研修で使うスライドの構成を作ってください。
1枚ごとに、タイトル、スライドに載せる要点を3行以内、話す内容の要旨を書いてください。
最後の2枚は、理解度を確かめる確認問題にしてください。
【手順書】
(ここに貼り付け)
チェックリストにする
手順書を、作業中に手元で確認するためのチェックリストに変えます。
次の手順書を、作業中に確認するためのチェックリストにしてください。
1項目は1行で、終わったかどうかを「はい」か「いいえ」で判断できる書き方にしてください。
ミスが起きやすい項目には、目印として「重要」と付けてください。
【手順書】
(ここに貼り付け)
既存のマニュアルを改訂する
業務が変わったときに、古いマニュアルを直す方法です。全体を作り直させず、変わる箇所だけを示させるのがポイントです。
次の既存のマニュアルを、変更点に合わせて改訂してください。
全体を書き直さず、変更が必要な箇所だけを「変更前」と「変更後」の形で示してください。
変更点の影響で、ほかにも直す必要がありそうな箇所があれば、あわせて指摘してください。
【変更点】
(ここに変更点を書く)
【既存のマニュアル】
(ここに貼り付け)
仕上げのプロンプト|抜けと曖昧さを洗い出す
マニュアルができたら、最後に「初めて読む人の目」で確かめさせます。書いた本人には気づきにくい抜けが見つかります。
あなたは、この業務を一度もやったことがない新人です。
次のマニュアルだけを頼りに作業するとして、次の3つを指摘してください。
1. 手順が飛んでいて、次に何をすればいいか分からなくなる箇所
2. 「適宜」「必要に応じて」など、判断の基準が書かれていない曖昧な表現
3. 説明なしに使われている社内用語や略語
それぞれ、マニュアルの該当箇所を引用して指摘してください。
【マニュアル】
(ここに貼り付け)
この確認で見つかった点を、現場の担当者に確かめて埋めていくと、マニュアルの質が一段上がります。
完成形に仕上げるツールの使い分け
ChatGPTには、マニュアルを完成形に仕上げるための方法がいくつかあります。
- 通常のチャット:下書きを作り、内容を詰める段階に向いています。上で紹介したプロンプトは、すべてチャットで使えます
- ChatGPT for Word:2026年9月17日から全プランで使えるようになった、Wordの中でChatGPTを開く機能です。開いている文書について質問したり、選んだ部分を書き直させたり、メモから下書きを作らせたりできます。すでにWordで管理しているマニュアルを直すのに向いています。会社のアカウントで使う場合は、ChatGPTのワークスペースの管理者の設定に加え、Microsoft 365の管理者がアドインを許可している必要があります。複雑な書式や表は、手で整える必要が出ることがあります
- ChatGPT Work:Word、Excel、PowerPointのファイルとして、完成形まで仕上げさせたいときに使います。既存のマニュアルのファイルを渡し、変えてはいけない書式や構成を伝えると、その形に合わせて作れます。毎回同じ形式で作るなら、テンプレートとして登録しておくと、形式を毎回説明する手間が省けます。WorkをWebとスマートフォンで使えるのはPlus以上で、無料版とGoはデスクトップアプリで制限付きです。テンプレートは個人のもので、Web版とデスクトップアプリのテンプレートは自動では同期されません
- プロジェクト:部署のマニュアルを何本も作るときに、書式の決まりや用語集を一か所にまとめておけます。同じ決まりで何本も作るときに、ばらつきを抑えられます
なお、ChatGPT for WordとWorkは、使った量に応じて、WorkやCodexと共通の利用枠を消費します。
注意点
- 機密情報の扱い:顧客情報や社外秘の手順を含むマニュアルを作る場合は、会社で許可されたアカウントと設定で使ってください
- 実際の作業で確かめる:できあがったマニュアルは、必ず一度、新人に実際に使ってもらって確かめます。文章として整っていても、手順が現場の実態と合っているとは限りません
- 更新の担当と日付:マニュアルは作ったあとに古くなります。最終更新日と担当者を必ず記載し、業務が変わったら改訂のプロンプトで直す運用にしておくと、使われ続けるマニュアルになります
よくある質問(FAQ)
Q. 材料なしで「経理のマニュアルを作って」と頼んでもいいですか?
A. 一般的なひな形は作れますが、自社の手順とは合いません。ひな形として構成の参考にし、中身は必ず自社の手順のメモから作ってください。
Q. 画面の操作手順も書いてもらえますか?
A. 画面の画像を渡せば、そこから操作の説明を書かせることはできます。ただし、システムの画面は更新で変わるため、実際の画面で確かめてから使ってください。
Q. 作ったマニュアルをWordのファイルにできますか?
A. ChatGPT Workを使えば、Wordのファイルとして仕上げられます。すでにWordで作っている場合は、ChatGPT for Wordで開いたまま直すこともできます。
Q. マニュアルの内容に間違いがあったら?
A. ChatGPTは渡された材料をもとに整えるため、材料の誤りや曖昧さはそのまま残ります。仕上げの確認のプロンプトで曖昧な点を洗い出し、現場の担当者に確かめてください。
まとめ
ChatGPTでマニュアルを作るコツは、現場の材料を渡し、読む人と形式を指定することです。要点を5つにまとめます。
- ChatGPTは、整える、書き分ける、抜けを探すのが得意で、手順の中身は現場から渡す必要があります
- 作業のメモ、読む人の情報、既存の書式の3つを用意してから頼みます
- 基本のプロンプトには、「推測で付け足さない」「曖昧な点は一覧にする」の2つの指示を必ず入れます
- 同じ材料から、FAQ、研修資料、チェックリスト、改訂版まで作れます
- 仕上げに、初めて読む人の目で抜けと曖昧さを洗い出させ、実際の作業で確かめます
まずは、自分の担当業務を一つ選び、手順を箇条書きで書き出して、基本のプロンプトにかけてみてください。一から書くよりずっと早く、叩き台の手順書が手元にできあがります。
💬 さとしさん(編集長)
完璧なメモは要りません。走り書きの手順を渡すだけで、叩き台はすぐにできますよ!
生成AIの導入・活用でお困りではありませんか
ChatGPTやClaudeをはじめとした生成AIの活用を、研修とコンサルティングで支援しています。これまでPower BIやDX支援など、30社以上・のべ数千名の支援に携わってきました。「業務マニュアルの整備にAIを使いたい」「社内で使いこなせる体制をつくりたい」といったご相談も承っています。まだ情報収集の段階でも構いません。お気軽にお問い合わせください。